研究概要 |
本研究は、床の下地表層部から什器,備品などまで全体を床仕上げシステムとしてとらえ、地震時におけるシステムの安全性を総合的に評価できる枠組みを確立するとともに、より安全なシステムを具現するための有効な資料を提示することを目的とする。具体的には、対象とする床仕上げシステムの試験体を比較的小規模な振動実験により所定の入力波で加振し、その時の挙動を測定することにより安全性を評価できる、簡便な試験方法を確立する。さらに、コンクリートスラブの表面強度や、什器,備品の固定方法などとシステムの挙動との関係を詳細に検討し、これらの要因が安全性に与える影響について体系的に整理することにより、より安全な床仕上げシステムの開発,設計,施工に活用できる有効な資料を提示する。平成19年度は、本研究の基礎的段階として、床仕上げシステムの耐震性に大きく影響する家具の転倒メカニズムを把握するとともに、簡便な評価方法を確立するために必要な簡易入力波設定の可能性について検討した。その結果、 ・家具の転倒確率には地震波のうち短周期成分による傾きの大きさと長周期成分の位相との関係が複雑に影響するが、有利にも不利にも働く長周期成分の影響を相殺して全体的にみると、短周期成分による傾きが小さい程、転倒しにくいと評価できる ・家具が固定された床仕上げでは、地震時に短周期成分により固定部が損傷,破損することが予想され、その程度を評価することが重要となる などの知見が得られ、今後、地震波の短周期成分から加速度振幅の大きい数波を抽出,単純化することにより、耐震性評価のための簡易入力波が設定できる可能性が高いことが明らかになった。
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