研究概要 |
1970年代に建設されたRC造建築物を対象とし,せん断破壊を想定した柱の内法高さの異なる低強度コンクリートRC柱を3種作製し,炭素繊維の補強量をパラメータとした静的加力実験を行い,低強度コンクリートRC部材の靭性能に対する炭素繊維シート巻きつけ補強(以下,CFRP補強と呼ぶ)の有効性の検討を行った。コンクリートはFc=11N/mm^2の普通コンクリートとした。加力は、試験体に定軸力(軸力比η=0.36)を載荷した状態で上下スタブを平行に保ちながら,柱部分に逆対称曲げを加え,静的正負交番繰り返し載荷とした。 ほぼ全ての試験体でせん断破壊が最大耐力の決定要因であったが、一部の試験体では,せん断破壊と付着割裂破壊の混在した複雑な破壊を呈した。補強試験体では,全シリーズ試験体共に付着割裂破壊が起こった。コンクリート強度11N/mm^2程度のRC柱試験体各シリーズにおいて,最大耐力は付着耐力式の計算と概ね対応していた。終局部材角は,せん断耐力式と付着耐力式の比と相関関係が見られた。極低コンクリー卜強度の領域においても,炭素繊維シート補強によりせん断耐力の向上,および変形性能の向上を図ることが可能であった。また、炭素繊維シート補強量の増加に伴い,大変形をした後でも軸力を保持する能力が向上していた。
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