研究概要 |
炭素繊維シートを用いた補強が低強度コンクリート柱の靭性能に及ぼす効果について構造実験により検討した。コンクリート強度σ_b=7N/mm^2程度のRC柱でも,炭素繊維シート補強により,曲げ耐力の向上,および変形性能の向上を図ることが可能であった。無補強の場合、最大耐力以降はせん断変形の割合が増加する傾向だったのに対し,補強試験体では最大耐力以降のせん断変形が抑制された。さらに,コンクリート強度σ_b=7N/mm^2程度において,終局部材角の実験値は計算値を大きく上回った。 またRC部材の一部をモデルとしたキャンティレバー型試験体で,コンクリート強度とシート補強量,試験鉄筋の本数をパラメータとする全16体の試験体に対する付着試験を実施した。コンクリートの実強度は,普通強度コンクリートシリーズはσ_B=28N/mm^2,低強度コンクリートシリーズはσ_B=7.7N/mm^2であった。実験の結果,付着応力度評価式τ_<bu>は,コンクリート強度7N/mm^2程度の範囲においても強度評価は可能であった。また,炭素繊維シートにより付着力の改善を図ることが可能であった。さらに,付着試験体の実験結果から,低強度コンクリートでは,炭素繊維シート補強後の最大耐力時引抜量は,普通強度コンクリートと比較してより大きな引抜量となる傾向がみられた。
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