研究概要 |
研究期間における、実験データの詳細な分析を行い、成果をまとめた。 本研究では、まず低強度コンクリートを使用したRC柱試験体に対する静的加力実験を行った。部材中各部の歪状態を追跡した結果、低強度コンクリートでは、主筋の曲げ降伏後、付着割裂破壊する傾向がみられた。このような部材を炭素繊維シートで補強することにより、コンクリート強度7N/mm^2程度の低強度の範囲でも、脆性的な破壊を回避し、耐力の向上を図ることが可能であることが判明した。また変形性能を格段に向上させることも可能であり、耐震診断基準による曲げ終局時の靭性限界評価値の傾向と矛盾することなく、安全側の性能を発揮することが示された。さらに炭素繊維による補強比を0.1%程度確保すると、拘束効果を考慮した普通強度コンクリート柱の曲げ強度評価法によって強度評価が可能であった。また大変形時における軸力支持能力の大幅な向上を期待出ることも明らかとなった。 低強度コンクリートでは、異形鉄筋との付着性状を慎重に評価する必要があることから、キャンティレバー型の付着要素実験を行い、付着特性を検討した。主要な結果として、低強度コンクリートでは,炭素繊維シート補強後の最大耐力時引抜量が,普通強度コンクリートと比較してより大きな値となる傾向がみられたが、付着強度τ_<bu>は,コンクリート強度7N/mm^2程度の範囲においても評価は可能であった。炭素繊維シートにより付着力の改善を図ることが可能であった。
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