研究概要 |
本研究では,地震外力を受ける標準的な日米鉄骨構造物の耐震性能を比較し,両構造物の優位点を明らかにしてきた。本年度は日米のラーメン構造(MRF, Moment Resisting Frame)及び日米の座屈拘束ブレース構造(BRBF, Buckling-Restrained Braced Frame)を比較した。両者の架構形式が最も異なる点は,機能分離型である点(米国)と全てが耐震要素である点(日本型)である。 そこで,米国型架構形式を参考にして,特定部位への損傷集中及び特定層への層間変形集中を抑制し,耐震性能を向上させるために,高さ方向への応力分散機構として弾性柱材の適用を検討した。弾性柱材は最下層の柱脚をピン支持とし,ベースシアの負担率が小さくなる機構とした。この弾性柱材は各上下層のせん断力の差により生じる層間変形集中を抑制する役割のみを担うものである。本年度は,縮小模型振動台実験を行い,この弾性柱材による層間変形集中抑制効果を明らかにした。 また,ブレース架構における弾性柱材の抑制効果をブレース材軸剛性と柱材曲げ剛性の比をパラメータとした層間変形集中式を誘導し,弾塑性大変形解析,地震応答解析によりその妥当性を検証した。
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