鉄筋本数の異なるSRCはり4体(主筋本数4種類)について、2000kN万能試験機を用いた4点曲け試験を実施するとともに、シリンダー圧縮試験から得られる材料定数からコンクリートの構成式を導出する手順をさまざまに変えて対応する解析を行い、「繊維化塑性関節法」に基づく解析コードでの解析に最も適合する構成式を模索した。また、主筋本数によるコンクリート拘束の影響を調べた。 その結果、圧縮のみを負担する弾完全塑性型の応力ひずみモデルを繊維化塑性関節モデルに導入すれば、降伏後の荷重をやや高めに評価するものの、SRCはりの荷重-たわみ挙動を実用的な精度で追跡できることを示した。また、コンクリートの拘束効果を明らかにするために、鉄筋本数を変えて実験し、解析を行ったが、明らかな効果は見られなかった。これは今回行った実験がはりの曲げ実験であり、試験体に軸力が作用していないことが一つの原因だと考えられる。 本年度は、既に公開している「試用版」のソフトウェア・システムの仕上げ、すなわち実務での使用を視野に入れた解析コードの信頼性や安定性の向上、誤った使用法への対処など、解析コードの「強靭さ」の強化に力を注いだ。少々の間違った使い方で誤った解を出すようでは実用にならないので、この仕事には外部の実務者の協力が不可欠である。往々にしてソフトウェアの使用者は開発者の想像もしなかった使い方をする。地味ではあるがこの仕事は重要である。 その結果、解析コードの信頼性や安定性が向上し、その成果をホームページ上で公開している。
|