研究課題
本課題は、主に実測記録をもとに建物に対して入力となって作用する地震動(有効入力動)を分析・抽出し、その特性を明らかにすると共に、それを適切に評価する方法を確立する事を目的としている。この課題に対し昨年度は、有効入力動の安定した評価尺度として、地震動の累積2乗積分値に基づく指標を提案し、その有効性を中小地震の地震動記録に対して実証した。本年度は、大地震時の強震動記録を対象として、累積2乗積分値に基づいて有効入力動を評価すると共に、杭基礎に支持された建物を対象として、有効入力動に及ぼす基礎構造の影響について、数値解析を通して検討することを目標とした。第一の目標に対しては、2007年7月16日に発生した新潟県中越沖地震における柏崎刈羽原子力発電所の建屋-地盤系の観測記録を、有効入力動に焦点を当て分析した。この作業は膨大で現時点でも継続して分析を進めている。これらの地震記録は、原子力発電所という特殊建物で採取されたものであるが、高加速度記録が得られていること、建屋-地盤系の高密度観測網のもとでの良質の記録が公開されていること等、貴重な記録となっている。本研究では、新潟県中越沖地震以外の中小地震記録の分析も合わせて行い、大地震及び中小地震記録を総合して有効入力動の特性を明らかにし、最終成果を論文誌等で公表する予定である。第二の目標については、群杭基礎に支持された建物を対象として、有効入力動の特性を数値解析によって検討するためのプログラムを作成した。現在は、プログラムの検証を行っていて、その成果の公表に向け作業を継続している。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)
日本建築学会構造系論文集 637
ページ: 477-486
7-th General Assembly of Asian Seismological Society of Japan, 2008 Fall Meeting
ページ: X4-079