研究概要 |
地盤沈下によるRC構造物の損傷度の調査及び検討とそれが耐震性能に与える影響について、下記の2項目に関する検討を行った結果、以下ことがしれた。 1. 地盤沈下によるRC構造物の損傷度の調査および検討(寺岡、仁保) 昨年度に続き、16棟のRC構造物について、沈下量の測定と各部のひび割れの詳細を調査・検討した結果、以下のことが知れた。 (1)べた基礎構造物について:(1)耐震補強時に雑壁の一部にスリットを設けることは,構造物の剛性を低下させ,結果として相対沈下量を増大させることを再確認した。(2)曲げ、せん断および収縮の各ひび割れ幅に関して、平均値に対する最大値の比は、2倍〜4倍であり、ばらつきが大きかった。 (2)支持杭基礎構造物について:(1)地盤沈下による建物の抜け上がり量は、圧密沈下の算定量に等しいか、若干小さい程度であった。(2)負の摩擦力を考慮した場合の支持杭に作用する荷重は耐荷力を上回り、このことが不同沈下を大きくした一因と考えられた。(3)調査対象地盤の沈下による抜け上がりおよび地盤の液状化は、支持杭の耐震性を低下させることが知れた。(3)温度変動に伴うコンクリートのひび割れ幅の変動は、測定部材の温度の変動による伸縮にほぼ比例していた。 2. 小型骨組モデルによる自己歪応力実験及びその損傷骨組の耐震性能確認実験(寺岡) 小型骨組モデル試験体を4体作成し、自己歪応力による損傷を調べると共に、その損傷が耐震性能に与える影響、および損傷した部材の耐震補強の効果を確認した結果、以下のことがしれた。 (1)自己歪応力は、骨組の耐震性能に影響を与える。(2)自己歪応力により損傷した柱部材を、炭素繊維により補強することで、耐震性能が著しく改善されることを確認した。
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