研究概要 |
平成21年度の研究項目および成果の概要を以下に示す。 I小型骨組モデルによる自己歪応力および耐震性能補足実験および耐震補強補足実験(寺岡) (1)自己歪導入時の柱の変形角を3水準、(2)コンクリートの圧縮強度を2水準、および(3)炭素繊維補強の有無、を実験因子とした実物の約1/4寸法の試験体を7体作成し、調べた結果、以下のことが分かった。 (1)自己歪応力の大きさが、柱の損傷(剛性・ひび割れ)に与える度合、および耐震性能を劣化させる度合に、関して貴重なデータが得られた。(2)炭素繊維補強は、自己歪応力を受けた柱の耐震性能を改善するのに、有効な方法であった。(3)以上の点については、コンクリート強度が10~36N/mm^2の範囲で、同様な傾向を有することが知れた。 II研究成果の統合的検討・評価(寺岡、仁保) (1)地盤沈下によるRC構造物の損傷度の調査および検討 (ア)べた基礎構造物について:(1)耐震補強時に雑壁の一部にスリットを設けることは,構造物の剛性を低下させ,結果として不同沈下量を増大させる。(2)曲げ、せん断および収縮の各ひび割れ幅に関して、平均値に対する最大値の比は、2倍~4倍であった。 (イ)支持杭基礎構造物について:(1)地盤沈下による建物の抜け上がり量は、圧密沈下の算定量に比べて若干小さい程度であった。(2)負の摩擦力を考慮した場合の支持杭に作用する荷重は耐荷力を上回り、このことが不同沈下を大きくした一因と考えられた。(3)調査対象地盤の沈下による抜け上がりおよび地盤の液状化は、支持杭の耐震性を低下させることが知れた。 (2)小型骨組モデルによる自己歪応力実験及びその損傷骨組の耐震性能確認実験 (1)自己歪応力は、骨組の耐震性能に影響を与える。(2)自己歪応力により損傷した柱部材を、炭素繊維により補強することで、耐震性能が著しく改善されることを確認した。
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