研究課題/領域番号 |
19560590
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研究機関 | 国土技術政策総合研究所 |
研究代表者 |
石原 直 国土技術政策総合研究所, 建築研究部, 主任研究官 (50370747)
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研究分担者 |
小豆畑 達哉 国土技術政策総合研究所, 建築研究副主任研究官, 主任研究官 (00251629)
緑川 光正 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90126285)
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キーワード | 建築構造 / 耐震 / 浮き上がり / 偏心 / 振動台実験 |
研究概要 |
建築構造の第1の目的は自重や積載荷重といった鉛直方向の死荷重を支えることである。耐震設計において死荷重は水平方向の復元力に負の効果、いわゆるPΔ効果をもたらす。浮き上がり許容建築構造は、死荷重を正の効果として活用したものである。浮き上がり許容建築構造にも偏心が許容できれば建築計画上の制約を少なくすることができるが、関連する学術的資料はほとんど見当たらない。本研究は偏心によるねじれ振動を生じるような建築構造を対象として、浮き上がる場合の動的挙動を解明することにより、耐震設計に寄与する資料を提供することを目的とする。 初年度に実施した主な内容を以下に示す。まず、対象構造の立体挙動を再現するための汎用2次元解析モデルを構築した。このモデルでは各鉛直構面と床面を別々に設定した上で、変位等値機能を利用して連動させることにより、立体的な挙動を模擬する。両方向とも1スパンの1層モデルに短辺方向の1軸偏心を設定した上で地震応答シミュレーション等を実施した結果、浮き上がりによる各構面の負担せん断力の均一化及びねじれ角の抑制が起こり、偏心の悪影響を排除しうることが示された。 次に来年度に向けて振動台実験を計画し、試験体を製作した。試験体は加振方向及び直交方向とも1スパン、1層のモデルとした。着地時の衝突と固有周期とに配慮し、かつ、偏心の大きさ等を実験パラメータとする試験体とした。接合部と付加質量とを兼ねた鋼製のブロックを柱の上部に、半球状のピンを柱脚部に設け、当該ピンは倒立円錐上の窪みを持つ支承の上に載せる形式とし、ねじれを含む立体的な挙動を拘束せずに着地時の水平方向のずれを防ぎながら、容易に浮き上がるように配慮している。 また、関連して浮き上がり部に設置する降伏型ベースプレートの履歴特性等や、部分的に浮き上がりが許容された鉄骨架構の地震応答についても検討した。
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