研究概要 |
自治体等が提供する従来の公共トイレのみでは、利用者の需要に対応できない地域において、コンビニエンスストアのトイレが、公共トイレの役割を分担しているのではないかとの考察に基づき、その公共的利用の実態を調査した。初年度に行った名古屋市内全店舗の現況調査を基にして、本年度は代表的な店舗形態を選定し、長期間の利用実態調査を行った。 店舗の立地と建物形状で区分すると,"沿道立地・戸建"の店舗が全体の32%,"住宅街立地・戸建"の店舗が30%であり,約1/3ずつを占める代表的な立地と形態となっていた。 両立地・形態から,洋式大便器が設置されたブースが男女別に提供されている店舗を選定し,扉の開閉時刻を自動記録するセンサーにより男女別の利用実態を把握した。調査期間は2008年8月から12月の5ヶ月間である。全調査期間において,男女の利用比率は8:2,大小便利用の比は2:8であり,駅舎や公園に設置された公共トイレと同様の利用傾向があることが確認できた。利用時間帯では,12時台にピークがみられ,1時間に男性10人程度,女性2人程度の利用があった。 さらに,1週間の朝、昼、夕、夜の時間帯に各1時間の目視調査を行い,来店者とトイレ利用者の属性を把握した。調査項目は、来店者の性別、世代、アクセス方法、トイレ利用である。その結果,女性のトイレ利用割合が少なく、世代別では女性の60代が来店数と利用率で共に低く、20代がその逆であることもわかった。また、アクセス方法では、自転車や徒歩の場合に比べ自動車や自動二輪の場合にトイレの利用率が高いことがわかった。 以上、コンビニエンスストアのトイレの公共利用の実態を示した本研究の成果は今後の施設計画を支援する設計資料として価値のある成果となっている。
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