自記分光光度計(日立U-3500、試料入射角は10度、測定波長範囲240〜2600nm、60φ積分球を付設)を用いて、アクリルおよびウレタン樹脂系の外装塗料80製品の分光反射特性を測定した。測定結果から、JIS R3106-1998に準拠した日射反射率を算出すると共に、可視域および近赤外域の日射反射特性についても解析した。その結果、・色が明るい試料は、日射分光分布によって可視光反射率に差が生じる。・実際の日射には天空成分も含まれるため、JIS C8911、の全天日射モデルが実態に近い。・市販の一般的外装材の全波長域での日射熱取得の算定は、従来通り波長帯を区分する必要はなく簡易的に扱ってよい。・波長別(可視および近赤外)の熱取得は、日射熱取得総量からは算出できない。波長別の日射データおよび材料の吸収率(反射率)が必要である。 等の結論を得た。そこで、JIS R3106規定の日射量モデルは晴天時の条件のみだが、晴天は年間20%程度であり、天候の変化に応じた波長別日射量モデルの整備が必要と考え、全天日射量や天候をもとに、近赤外域を含めた波長別日射量を推定する手法を検討した。具体的には波長域350〜1050nmの分光日射の測定が可能な回折格子型分光放射計(英弘精機MS-700)および全天日射計(英弘精機MS-402)による天候別日射量測定結果から、全天日射量の無次元数である晴天指数をパラメーターとした、任意の日時・天候における可視および近赤外域日射量の推定式(領域別日射量の推定式)を作成した。
|