本研究課題は、都市部を通過する幹線道路の両側に連担する建物の前面および道路上部に併設されている高架道路の裏面からの反射音の影響によって、沿道周辺の音環境がどの程度悪化するのかを定量的に把握することを目的としている。今年度は、まず標準的な断面を有する平面道路の上部に高さ8mの高架道路が併設されている市街地道路を想定した1/40縮尺の模型を製作し、建物の配置条件等を種々の条件で設定した音響伝搬実験を行った。また、既往の研究で構築した計算モデルの妥当性を模型実験の結果を用いて検証した。音響模型実験は全24パターンの建物配置条件下で行い、測定点数も含めて全46のデータを収集することができた。その結果、(1)沿道周辺での騒音レベルは建物の配置に依存して大きく変化すること、(2)建物が蜜に連担するような場合(道路の長さに対して8割が建物である時)には、壁面および高架裏面からの反射の影響により8dB程度増加するが、比較的に疎らな場合(道路長の6割が建物である時)にも4dB程度レベルは増加する。ことなどが明らかにできた。さらに、実験データから得られた結果を踏まえて、既往の研究で提案した計算モデルの一部に改良を加えた。改良した計算モデルと実験結果との対応も良好で、モデルの有用性を確認することができた。 来年度の研究実施計画としては、(1)高架裏面および建物の壁面を種々の条件で吸音処理した場合の実験を行い、このような騒音低減対策をした場合にも、本計算モデルが適用可能であるのかを検証すると共に、(2)現実の高架・平面併設道路での実測調査を行う予定である。
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