本研究は、「街なか居住」をキーワードに、地方都市の居住地再編を目指した公共住宅施策の検討を、街なかと郊外住宅地をそれぞれフィールドにしながら、進めていくことを目的としており、平成19年度は、人口10万人を超える東北地方の主要都市において、「街なか居住」を迎える中心市街地の実態把握を行うことから研究を始めた。「街なか居住」の受け皿として中心市街地が充足しているか、すなわち「街なか居住」の空間および住環境の質に焦点を当てることを目的として、集合住宅の立地環境に関するデータを収集した。データ収集の方法としては、当該自治体が存在する県庁都市計画課にヒアリング調査を実施し、中心市街地活性化エリア内における街区レベルでの土地利用データの経年変化を5年スパンで複数収集し、土地利用の変遷を明らかにした。そこから明らかになった土地利用の変遷として、盛岡市、福島市、いわき市における中心市街地内部の土地の空洞化、駐車場への転用、そして最終的に集合住宅が建設されていく土地利用変遷の典型的パタンを抽出することができた。そのデータは、デジタルマップを加工し、データ化している。一方で、居住者アンケートについては、当該自治体の政策担当者に対するヒアリングにより、盛岡および山形市からは最新のアンケート調査を収集し、次年度にさらに詳細なアンケートを実施するための検討を行うとともに、青森市で実施したアンケート調査との比較により、街なかへの転居者が抱える従前住宅の処分の問題を顕在化させることができた。
|