本研究は、「街なか居住」をキーワードに、地方都古の居住地再編を目指した公共住宅施策の検討を街なかと郊外住宅地をそれぞれフィールドにしながら検討を進めたものであり、平成20年度は、特に郊外住宅地の空洞化が化しつつある盛岡市を対象として郊外住宅地アンケート調査を行い、世帯の変化に伴う中心市街地への転居志向、およびそれを阻む現実的要因、一方でそれを推進させるための支援策の可能性について検討した。 一方で、郊外住宅地の空洞化に対して国が考える施策としての住み替え支援の実態を、移住・住み替え支援機構へのヒアリングによって明らかにすると共に、地方都市でのその可能性を探るために、青森市内で行政部局と協議しながらその仕組みづくりを進めている組織(青森コモンズ)のヒアリング調査も実施した。 調査結果から明らかになった点として、1) 持家を人に貸して、そのお金で自らが街なかの集合住宅を借りるという発想は、持家志向の強い東北地方においては説得力に欠る2) 貸しぐらいなら売ってすっきりしたいという回答が過半数を占め、持家を前提として住み替え支援の難しさが朗らかである。3) リフォーム経費を、従前居住者が負担するという考え方が、手放したい所有者にとっての足かせになってしまうことから、行政及び金融機関の連携による、ストックを目的とした住宅リフォーム融資制度等の検討が必要になる。なお、このような研究結果は、これまでデータとして我が国において明らかにされてきておらず、すでに、国土交通省、函館市等において研究成果を講演させていただいている。
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