研究課題/領域番号 |
19560607
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
西川 潔 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (80114114)
|
研究分担者 |
山本 早里 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (90300029)
|
キーワード | 都市計画・建築計画 / 国土整備 / 屋外広告 / 環境調和型都市基盤整備・建築 / シェアードスペース |
研究概要 |
屋外広告物が多数を占めるわが国の街路景観の改良を最終目標とし、諸外国の制度や実態を参考にし、日本の街路景観に相応しい屋外広告物のコントロール手法を探ることを目的としている。本年度は最終年度として以下の調査を行い結果を得た。 1.ドラヒテン・オーデハスク(オランダ)、ボームテ(ドイツ)において、標識類を撤去して歩車共存する手法「シェアードスペース」を実施した都市の現状を調査したところ、標識が一切なくても交通に支障はなく、かえって重大な事故を防ぐことができること、またその結果として街並の景観が整備されることが分かった。 2.バルセロナ・ジローナ(スペイン)において、広告景観と街並色彩が強く規制されている状況を調査し、広告景観改良の資料として、古い景観を維持しつつ新しく景観を作り出す手法を把握した。 3.江戸時代の街並を描写した熈代勝覧を用い、仮設の屋外広告と固定の屋外広告等を色分けして構造を検討したところ、長のれんが街並の連続性を作り出し、その中に点在する小型突出サインが街の賑わいを作り出す様子を明らかにした。 以上の調査から、昨年度までの結果である、屋外広告の質的向上を望む要素・方策についてまとめた7点、(1)野立広告物あるいは自立型広告物の大きさや形状を整え、掲出の高さにも一定の基準を策定する、(2)屋上広告の掲出はいかなる都市や街においても原則的に禁止する、(3)店を象徴する創意に富んだ小型の看板(屋外広告物)を低く掲出することを推奨する、(4)ポスター掲出装置を考案し、屋外広告を収斂させる、(5)非固定的でテンポラリーな形式の屋外広告の利用は慎重にする、(6)日本の伝統的な街並みの屋外広告に学ぶ、(7)ラッピング広告に必要なのはデザイン審査よりも数と量の規制である、が屋外広告物のコントロール手法として有効であることが改めて検証された。
|