1 事例からの定式化 前年度でカバーできなかった事例として、住民からの要望を計画で実現するか否かに関する推論の例を検討した。興味深いのは、要望自体を容認している場合に、計画案として実施しなくとも許容されるケースがあることである。つまり、Aであることを要望され、計画担当者がその計画実現を約束しかつ計画しなかった場合、Aであることが不可能であることが判明した時点で、要望が実現しなくとも計画担当者の判断は容認される。この要望と計画内容との論理推論形式の定式化を試みた。 2 計画妥当性の様相論理学的定式化 1)計画案の整合性論証の定式化 未解明であった要望様相の推論形式の論理的性質を抽出した。その結果、Aであることが要望されていることは、Aであるという内容の計画案の妥当性の根拠にはなっていないことを明らかにした。この事実から、要望があったからという理由で計画内容を規定することは誤りと言える。 2)整合性判定ソフトウエアの開発 前年度に構築した可能性・不可避性記述を含む計画記述文の整合性判定アルゴリズムを、具体的にパーソナル・コンピュータ・プログラムとして作った。いくつかのケースでの妥当性判定テストを行い、正常に機能することを確認した。これをもとに、計画作業段階で不整合を検出し計画を支援するシステムの開発が可能となる。
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