研究概要 |
1、目的:本年度は,新潟県中越沖地震で試みられた新たな応急居住・経済支援の概要を整理した。また応急的居住環境の供給計画の最適化のための根拠を得るべく,同地震における被災者の時系列的な応急居住実態と現状での生活再建に関する意識および公的支援の受入実態を追調査し、回答時点での生活再建実感と属性・移行プロセス・支援受入状況等の諸要因との関係の分析を目的とした。 2、調査の概要:2008年秋季、新潟県中越沖地震で被害の大きかった柏崎市中心部12町で追加アンケート調査および関係者へのヒアリング調査を行った。 3、結果: (1)地方小都市的地域と農村的地域という異なる地域性を有した2地域間の被災者の応急居住行動実態および意識の比較から、地域性の違いを反映させた応急居住計画の必要性が認められた。 (2)新潟県中越沖地震における公的生活再建支援は、応急居住面では提供施設の多様性が増し、宿泊施設・過去の地震で供給された応急仮設住宅・公営住宅などの一時提供が行われ、経済面では被災者生活再建支援法の改正で年齢・収入制度の撤廃や使途の自由などが加味され、より有効な性格を有するものとなったことが示唆された。 (3)昨年度および今年度の被災者アンケート結果を総合すると、以下の傾向が認められた。 ・公的支援が改善されたことは評価されるが、さらに早期かつ充実した支援が求められること。 ・復旧・復興期の被災者の生活再建実感に「住まい」「収入」の状況が大きな影響をおよぼすこと。 ・恒久的住宅に移行できる層ほど、また従来の応急居住施設であった指定避難所や応急仮設住宅以外の避難先を活用できた層ほど生活再建実感は高くなること。
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