本研究は、フランスにおける一般の新規建蘂物のデザインマネジメントを通した都市景観の保全的届噺を考察することを主目的とし、それを明らかにするために1988年から2007年のフランスの建築雑誌「AMC」と「Diagonal」と Urbanisme」によって、20数年間にわたるフランスにおける新規建築物の作られてきた状況とその整備地区を調査し、鯛査地を特定している。それに基づき、2007年11月と2008年2月の2度の現地調査を行った。調査地は協議整備区域が中心で、リールのユーラリール、パリ13区のセーヌ左岸、12区ベルシー、17区ボルト・ダニエール、ラ・デファンス、ブーローニュ・ビランクールのイル・セガン-セーヌ河岸、リヨンは中心市街地の公共空間整備とコンフラン、マルセイユのユーロミディテラネである。 現地調査では整備状況の把握と匿名経済混合会社(SAEM)の都市計画担当者に聴き取り調査を行い、フランスの各協議整備区域における都市整備の進め方についてまとめている。マルセイユを除いてすべての協議整備区域あるいは街区で調整建築家の存在が明らかになった。ユーラリールの調整建築家に聴き取り調査の結果、都市計画担当者の発言から都市整備におけるデザインコードに関しては調整建築家による仕様書(Cahier des charges)の重要性が浮き彫りになってきている。また協議整備区域はほとんどが工場跡地等の産業転換による遊休地であり、産業遺産としてその一部が都市開発の重要な役割を持っているという結果も明らかになったが、公共空間の整備は斬新なデザインが取り入れられていた。そこには日本ではまだ確立していないペイザジスト(景観デザイナー)の重要性が明らかになってきている。
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