近年、社会全体の高学歴化、専門知識の習得の必要性等から、大学では誰もが自らの選択で学ぶことのできるユニバーサルアクセスの実現が重要な課題となっており、障害の有無に関係なく学生が安全かつ快適に学習や研究活動を行うことができるような環境整備が求められている。そこで本研究ではキャンパスや大学施設のバリアフリー化、および障害学生支援に関する支援環境の整備手法を明らかにすることを目的とする。 初年度である今年度は大きく以下の三つの調査を行った。 (1)障害学生支援について大学組織として積極的に取り組んでいる大学の支援組織体制や環境整備の実態を把握するため、先進事例4校を選定し、支援センター職員に対してプレヒアリング調査を行った。 (2)文部科学省文教施設企画部や国立大学協会などの大学を統括している機関や日本学生支援機構研究員など実態調査を行っている担当者へヒアリング調査を行った。これにより、障害学生の支援環境や大学施設のバリアフリー化に関して、既往の外部機関による調査で障害学生への支援体制が先進的に整備されているとされる大学以外にも、独自に支援環境やバリアフリー化を組織的に進めている大学があるとの情報を得ることができた。 (3)全国の大学における整備実態の動向を把握し、整備状況を整理するため、全国の大学を対象にバリアフリー整備の取り組み状況等に関する郵送アンケート調査を行った。これにより、「現状の整備実態(整備水準)」「これまでの経緯・取り組み」など、今まで明らかになっていなかった大学キャンパスにおけるバリアフリー環境整備の全体像を把握することができた。
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