平成19年度は、『「参加型計画」「建設後の施設利用・運営」「地域コミュニティ」間の相互浸透作用の検証』を行った。 1)計画への市民参加ワークショップにおける施設計画段階では、利用者の自主的かつ責任ある利用を期待して「自由に過ごせる場」という利用イメージ(コンセプト)を創造、共有している。そのことが共用空間の設計に反映された結果、利用者からの空間評価も概ね好評である。一方で、コンセプトの意味を理解出来ずに「自由に何でもしてよい」「自分たちの好きなようにしてよい」という「自由の履き違え」をしている利用者が少なからず存在し、そのことが、施設利用者・運営者にとっても問題となっている。ワークショップの参加者は、ワークショップ時に創造、共有された利用イメージを、空間デザイン(空間のあり方)によって実現できると期待している傾向にある。 2)計画段階での理念を運営に生かし、市民の責任ある参加協力を得て公共施設が「自由なる場」となる上では、以下3点の「仕組みの設計と改善」が必要不可欠である。第一に「施設設置条例」。既存施設の設置条例に新規施設を入れ込んだ場合、弊害が少なくない。設計プロセスの成果を反映して、施設設置条例が新しく設計されるべきである。第二に「管理責任者の役割」。市民参加型の施設運営がうまくいくには、施設管理責任者(館長等)が重要である。ワークショップにおける運営め仕組み検討段階に管理責任者などの施設管理ノウハウをもったスタッフも参加する事が望まれる。第三に「市民サポーターの制度的担保」。自主的で自立的な市民サポーターの存在があるにも関わらず、それを施設運営に十分には活かしきれていないことがある。これは、供用開始後に市民と施設管理者が一緒に協議する場(ワークショップ等)の設置を制度的に担保し、その担い手として市民サポーターを位置づける仕組みの設計が必要と考える。
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