1)「参加型計画」「建設後の施設利用・運営」「地域コミュニティ」間の相互浸透作用熊本県内4事例のそれは、計画当時(5〜15年前)の社会状況を前提としたものであって、いづれも昨今の激しい社会変化に対応できず、機能不全に陥っている。ある施設は過疎化地域においてさらなる過疎化に飲み込まれ、開店休業状況にあり、またある施設は市民参加の機運が計画時だけのものであり、建設後は行政の運営する単なる利便施設に留まっており、従来型の公民館とは何ら代わらない状態にある。このように、参加型計画であるからといって、必ずしも建設後の利用・運営や地域コミュニティに良い影響を与えているわけではなく、参加型計画においては今一度、「何のための参加か」を問い直す必要がある。 2)公共施設の新規計画行為とその後の運営行為、経年後の改善行為は、これまで不連続的に別個のものとして行われていた。そしてそこでは、市民参加も、計画段階における機能配置、空間デザイン、利用方法の検討に留まっていた。岡崎市図書館交流プラザの事例では、同施設がオープンした後の利用段階において、市民組織における同館の創造的持続的な施設活用が行われている。その要因として、施設空間計画が終了してから施設がオープンするまでの間、行政や市民活動支援NPOによって創造的な施設活用のための市民組織を組織化・自律化するための取り組みがあったことが大きい。市民活動支援組織のサポートにより、施設設置企画→施設空間計画→施設運営検討→施設利用運営への連続性ある市民協働が担保される可能性を見いだすことができた。
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