1)「参加型POE」の効果とそこから顕在化した問題の検証 市民参加で計画・運営がなされている公共施設では、利用上の不満は、行政に対する一方的要求となるだけではなく、市民自ら解決していこうとする動きがみられる。管理者である行政と、利用者である市民との間に、運営者としてのまちづくりNPOや任意市民団体が複数存在しており、彼らは、市民自ら創意工夫することで公共施設が活かされることを経験的に理解している。参加型POEは、潜在化している問題点を顕在化させるにとどまらず、そこから創造的運営を考える契機となった。 2)不安定社会における公共施設のあり方と役割の検討 市民活動を支援する公共施設の場合、市民の利用は、趣味のサークルなどによる市民組織による自己充実型活動のための閉鎖的利用と、子育てや高齢者問題などに取り組む市民組織による問題解決型活動のための開放型利用に大きく分かれる。不安定社会においては、人間関係選択の機会と幅が広く、人間関係の拡がりが期待できる後者の活動をより支援するような公共施設が望まれる。 3)新規計画から運営・改善まで連続性のある「デザイン・マネジメント手法」の構築 地方分権が進む21世紀における「参加型公共施設計画」には、単に施設を計画し、運営方法を検討するに留まらず、市民自治を育むことまでも含まれるという認識が重要である。そのためには、市民参加によるワークショップの初期の段階から、そのような位置づけを各参加主体に理解・共感させるような仕組みが必要である。市民と行政の対話を通じて、自然とそのような態度が醸成されることを期待するのではなく、積極的に「参加の専門家」の側から、投げかけていくことが必要不可欠であり、その際に、いかに建物計画や運営計画とリンクしながらワークショップを進めていくことができるのかがポイントとなる。
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