研究課題/領域番号 |
19560664
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石丸 学 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (00264086)
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研究分担者 |
平田 秋彦 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (90350488)
内藤 宗幸 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (10397721)
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キーワード | 炭化ケイ素 / 非晶質 / 動径分布解析 / 構造緩和 / スエリング |
研究概要 |
本年度は、イオン照射により作製したアモルファス炭化ケイ素(SiC)に対して、透過電子顕微鏡(TEM)搭載の加熱ホルダーを用いて熱処理を施し、構造緩和過程の「その場」観察を行った。本手法により、試料の同じ領域からの構造情報を得ることができ、電子回折の際問題となる動力学的回折効果の影響をほぼ同一にすることが可能となる。その結果、以下の成果が得られた。(1)アモルファスSiCの再結晶化に先駆けて、アモルファス層自体の体積は加熱温度の上昇とともに減少し、アモルファスSiCの高密度化が起こっていることが断面TEM観察および電子エネルギー損失分光測定により確認された。(2)イメージングプレートを用いた電子回折強度の精密定量解析により、散乱ベクトルが300nm^<-1>までに渡る回折情報を得ることが出来た。この結果を基に電子線動径分布解析を行ったところ、アモルファスSiCの第1隣接には異種原子対(Si-C)に加え、結晶には存在しない同種原子対(C-C、Si-Si)が存在することが明らかとなった。(3)熱処理により異種原子対の数が増えるのに対し、同種原子対の数は減少し、構造緩和に伴い化学的規則性が発達することが確認された。(4)長いボンドであるSi-Si原子対は短いボンドのC-C原子対よりも熱処理により早く消失することが確認された。これは、両者の結合エネルギーの違いによるものと考えられる。同種原子対間で消滅速度に違いが熱処理時の体積変化を導くものと推察される。
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