研究概要 |
課題研究の最終年度である本年度はこれまでの研究からSPring-8で達成された低温6K、圧力20GPaまでの条件内で物性変化が報告、もしくは予想される物質についての探索とともに、新たにUVSOR BL6Bでの同様の低温高圧下での赤外分光実験環境の構築に着手した。現在UVSORはトップアップ運転が試験調整段階であり、これの実用度合いのテストという意味合いもある。現在のところ、ビーム軌道も安定化してきており、トップアップ入射による問題は入射時に輝度がパルス状に変動する点ぐらいで、入射タイミングに合わせた測定を行ってやればほぼ問題なく顕微分光測定が可能となってきている。実験設備はダイヤモンドアンビルを共通規格にすることでSPring-8,UVSORを多角的に利用可能にしている。また、これまでの研究成果報告として国際会議でのオーラル発表2回,ポスター発表1回、国内学会2回、研究会での招待講演1回をそれぞれ行った。さらにこれらの研究報告活動を通して、FEL(大阪大学産業科学研究所)やポータブルシンクロトロン(立命館大学)における多元極限下での赤外分光測定の計画も持ち上がっており、遠赤外-テラヘルツのさらなるエネルギー領域の拡張が今後の研究目標となった。測定対象となる試料は物質材料機構、日本大学などから鉄系超伝導を含む遷移金属化合物を中心に共同研究として提供が行われ、引き続き国内外の学会、会議で報告予定である。これらの発展を踏まえて多元極限下赤外分光実験のテラヘルツ領域への拡張という内容で次期科研費も申請済みである。
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