対抗ターゲット式DCマグネトロンスパッタ装置において基板を加熱しない場合、ノンドープZnOターゲットとIn_2O_3を用いたZnO-In_2O_3系透明導電膜のガス圧に対する電気的特性の変化を調査した。ガス圧が0.13Pa(1×10^<-3>Torr)のとき最小抵抗値5.6×10^<-4>Ω・cmが得られ、この値を境にガス圧を大きくしても小さくしても抵抗率は上昇した。 ただし、本実験では1.00Pa(7.5×10^<-4>Torr)以下あるいは0.33Pa(2.5×10^<-3>Torr)以上で抵抗率は一定の値を示す結果となった。また、キャリア移動度は20〜60cm^2/Vsでガス圧に依存せずほぼ一定であった。 全ての薄膜の透過率は可視光領域で70%以上であった。吸収端の位置はガス圧が低いときに比べ、高いときは短波長側にシフトする傾向にあった。また、各薄膜の表面のAFM像を比較すると、ガス圧の増加にしたがって薄膜の表面は粗くなり、粒子径もしだいに大きくなっていった。 更にノンドープZnOに替えて、7.5wt%Ga_2O_3ドープZnOを用い非晶質ZnO-In_2O_3系透明導電膜をガラス基板上に製膜した。製膜した膜を5%水素を含む窒素ガス中で30分間200-300℃の温度領域でポストアニールすると、表面が更に平滑になり、電子の有効質量が小さくなる傾向が観測されたことから、キャリア移動度を改善することにも有効であることが示唆された。
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