研究概要 |
ガドリニウム固溶セリア(GDC, Ce_<0.8>Gd_<0.2>O_<1.9>)を電解質材料、ニッケル-GDCサーメットを負極材料(厚さ1.4-4.81mm)、SrRuO_3を正極材料に用い、負極支持型の単セルを作製した。負極材料(NiO-GDC)とGDC電解質薄膜の積層体の共焼結では焼結温度が高くなると、GDC電解質は緻密化するが、NiOとGDCの蒸発が起こり気孔が生成する。また、GDCとNiO-GDCの収縮率の違いでそりが生じる。このそりはNiO-GDC成形体の厚さを増加させ、NiO-GDCに対するGDCの成形体厚さの比を0.03より小さくすると防止できた。 正極材料SrRuO_3は金属塩混合水溶液とアンモニアを用いた共沈法で調製した。昨年度、粒子径は仮焼時間の増加とともに増大し、粒子径増大により反応過電圧が増加することが分かった。SrRuO_3の仮焼温度を1000℃から900℃に低下させ、仮焼後ボールミル粉砕することで平均粒子径を18.9μmから0.89μmに減少できた。900℃未満の焼成ではSrCl_2が生成し、SrRuO_3単体は得られなかった。 粒子径0.89μmのSrRuO_3を用いた発電実験では800℃と600℃での最大出力密度は348,113mW/cm^2で、従来の粒子径18.9μmを用いた場合(800℃、600℃の236,100mW/cm^2)に比べ増加した。粒子径0.89μmのSrRuO_3を用いた場合、正極での反応過電圧が小さく、粒子径減少による電極反応の場である三相界面が増加したためである。開放起電力は燃料極の酸素分圧からネルンストの式で計算される理論起電力に比べて低かった。
|