研究概要 |
平成19年度は,3種類の希土類元素,すなわち,La,Gd,Luの酸化物を唯一の焼結助剤として添加した焼結体をホットプレスによって作成することによってα-Si_3N_4の含有量が高い焼結体を作成後,熱処理を行うことにより,α-β転移速度をX線回折法によって追跡するという研究実施計画であった。平成16-18年度の科学研究費補助をいただいた研究テーマ「希土類金属錯体を焼結助剤前駆体とする高熱伝導率窒化ケイ素セラミックスの開発研究」を実施した結果,本研究で用いられる研究装置の核である高温雰囲気炉の痛みが激しく,本研究に使用できない状態であった。そこで,本年度は,まず,電気炉の補修(断熱材と発熱体の交換工事)を交付された研究費により行った。しかしながら,現在,黒鉛断熱材の納期が発注後少なくとも半年かかるため,実際の納入、設置工事は12月末となった。本研究では,熱処理温度を極めて正確に管理しなければならないが,これまで使用してきた電気炉は,光温度計による測温を電気炉側面の測温孔から行っていたため,高温で蒸発した無機物質が測温孔のガラス面に付着する結果,実際の炉内温度と測温が大きく乖離することがしばしば起こった。そこで,本年度行った電気炉の改修工事では,測温孔を閉じたタイプへ改造する工事も同時に行った。しかしながら,本改造により,実際の炉内温度と測温が全く異なることが判明し,本問題を解決するため,さらに2ヶ月を要した(原因は,測温孔に挿入する黒鉛筒が短すぎたためと判明し,黒鉛筒を黒鉛サセプターの表面ぎりぎりまで延長することによって解決した)。結果として,本研究を開始できたのは平成20年3月に入ってからであったため,現在は,研究の初期段階である焼結体作成に留まっている。
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