研究課題/領域番号 |
19560686
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
磯部 雅朗 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導材料センター, 主席研究員 (10354309)
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研究分担者 |
木本 浩司 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノ計測センター, 主席研究員 (90354399)
胡 暁 独立行政法人物質・材料研究機構, 計算科学センター, グループリーダー (90238428)
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キーワード | スピンエレクトロニクス / 強相関電子系 / 磁性 / 電子顕微鏡 / 計算物理 |
研究概要 |
本研究では、ペロブスカイトなど、種々の構造を持つ遷移金属酸化物を題材とし、計算科学の支援の下、超高圧等の極限技術を駆使することにより、未踏の物質である反強磁性ハーフメタルを物質設計・合成探索することを目指す。 反強磁性ハーフメタルは、完全スピン偏極材料であり、且つ外部磁場に対して容易に影響を受けないという特長を持つ。そのため、これを将来のスピントロニクスにおける磁場非反転のスピン偏極電流源材料として利用できれば、素子性能を格段に向上できる可能性が生まれる。 平成20年度は、主に、本研究代表者等が近年合成発見に成功した規則型ペロブスカイトSr_2Cu(Re,Ca)O_6をベースとして、その関連物質の中から反強磁性ハーフメタルの性質を示す物質の探索を行った。研究分担者らが行った第一原理計算によるバンド構造を指標として、SrサイトへのK置換(ホールドープ)、およびLa置換(電子ドープ)による金属化を試みた。その結果、両置換試料共に単相に近い相を得ることが出来た。しかし、理論計算でハーフメタルを示すはずであったK置換相は、実際には金属化はできなかった。ナノ相分離が原因に考えられる。他方、La置換相においては置換量x=0.05において半金属的な兆候(電気抵抗値極小)が観測された。また、低温ではアンダーソン局在的な振る舞いが見られた。この抵抗の急激な変化は、磁気秩序と関連する可能性があり、巨大磁気抵抗の観点からも興味深い。 他方、CaFe_2O_4型構造の新規物質についてもナノハーフメタルの観点から検討を進めた。
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