本年度の研究成果は下記のとおりである。 1.溶媒を用いない乾式系において、アミノ基を導入したシリカにアクリル酸メチルを(MA)のマイケル付加反応と、エチレンジアミンによる末端アミ化を繰り返すことにより、粒子表面へ非常に多くのアミノ基(生物忌避物質の固定支台)を持つ多分岐PAMAMをグラフトさせることに成功した。 2.生物忌避活性物質の固定点を導入する目的で、シリカナノ粒子表面ヘグラフトした多分岐PAMAM末端アミン基をヘキサメチレンジイソシアナートで処理することにより、グラフト鎖末端のアミノ基を高反応性のイソシアネート基に変換した。ついで、ヘキサメチレンジイソシアネートで処理することにより、グラフト鎖末端のアミノ基を高反応性のイソシアネート基に変換できることを明らかにした。 3.シリカナノ粒子表面グラフト鎖末端のイソシアネート基とカプサイシンの水酸基との反応により、加水分解性のウレタン結合を介して、カプサイシンがシリカナノ粒子表面へ固定化できることを見出した。 4.側鎖にブロック型イソシアネート基を持つポリマーをグラフトしたシリカナノ粒子をカプサイシンと共に加熱すると、グラフト鎖の側鎖にカプサイシンが固定化できることが分かった。なお、ここで得られたシリカは疎水性を示した。 5.多分岐PAMAM末端ヘカプサイシンを固定化したシリカナノ粒子は、多彩な高分子中や塗料中に容易に、しかも均一に分散する性質を持ち、新規のナノコンポジットが得られることを明らかにした。また、カプサイシン固定化シリカの各種樹脂中への分散状態や、機械特性について評価した。
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