本年度は以下の項目について検討を実施した。 [1]炭素繊維の破壊靱性値測定 現在試験片として用いている炭素繊維(IM600)については、(a)亀裂長さ依存性、(b)亀裂幅依存性を調査し、破壊靱性値の妥当性について検討し、200nm以下の亀裂幅で一定の値を得る事が確認された。これが真の破壊靱性値を与えるものと考えられた。 [2]有限要素法による解析 炭素繊維は大きな異方性を有するため、破壊靱性値の計算には従来の計算方法を用いて求めることができない。そこで、有限要素法を用いて応力解析することで、異方性材料の破壊靱性値の計算を実施した。解析に当たっては、異方性の弾性定数が必要となるため、あらかじめ実験的に求める。このため、昨年度測定方法を検討したせん断弾性率の測定を実施するとともに、繊維軸に垂直な方向の弾性率の測定方法について検討した。実験方法としては、現有のナノインデンターにより繊維の押し込み試験を実施し、有限要素法による解析結果との関係から、弾性率を推定する。この結果を元に、各種繊維の破壊靱性値を計算する事が可能となった。 [3]試験の再現性向上 破壊靱性試験の再現性を向上させるため、るフォルダー形状について検討したが、現段階では従来以上の再現性が得られていない。これについてはさらに検討を要する
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