研究概要 |
優れた室温機械的強度及び延性を示す各種非平衡Ti-LTM合金(LTM:後周期遷移金属)の構造及び変形挙動を検討した。この合金の高強度の原因について過飽和なβ-Ti固溶体中にFeとLTMの量は高いので、格子パラメーターへ大きな変化がさせ、また、Ti-Fe,Ti-Fe-Co及びTi-Fe-Co-Sn合金には高硬度な樹枝状cP2 TiFe金属間化合物が生成させる。検討した全て合金試料の構造は均一になった。Ti_66Fe_22Cu_12合金に初晶cP2 TiFe相の樹枝状セルのサイズは10-50μmであるが、cP2 TiFe共晶棒にはこのサイズは大幅に減少する。アーク融解法による得られたTi_60Fe_20Co_20合金は2.1GPaの高室温圧縮強度、1.5GPaの降伏強度及び15%の大塑性変形を示す。Ti-Fe及びTi-Fe-Co合金は大きなひずみ硬化が現わされが、Ti-Fe-Cu合金系はこのような挙動が示されなかった。cI2β-Ti固溶相は転位タイプの変形メカニズムを示す。変形後のTi_60Fe_20Co_20合金の構造が詳しく的に分析された。この合金には変形誘起マルテンサイト相変態と部分的なアモルファス化が検出された。アモルファス化の範囲は3-7nmである。ナノビーム回折パターン(ビームサイズ約5nm)によるこのアモルファス相の形成が証実された.また、同じ試料には、mP4相に関連するデフラクションスポットも検出された。変形誘起マルテンサイトcP2->mP4相変態と同様に、cP2金属間化合物の格子は歪曲され、マルテンサイトのmP4 TiFe (NiTi型)相が形成された。このmP4マルテンサイト相の形成による合金の塑性を改善することができる。また、残留のcP2金属間化合物相の格子も重大的歪曲される。この領域の過飽和のcI2 β-Ti固溶体は分解させ、α-TiとcP2相へ変態される。Ti_67Fe_14Co_14Sn_5合金には24%の大塑性変形を示すが、硬度は低い。この原因についてFeを比べてSnによるβ-Ti固溶体の格子歪曲への影響は小さい。Ti-Fe-Co合金のcP2相の格子歪曲を比べて、Ti-Fe-CuにはcI2 Ti(Fe,Cu)相の格子歪曲が観察された。また、共晶のcP2 Ti(Fe,Cu)相の形状もTi-Fe-Co合金のcP2 Ti(Fe,Co)相を異なる。しかしながら、Ti_66Fe_22Cu_12合金に初晶の樹枝状構造の形状はTi_70Fe_15Co_15合金及び他のTi-Fe-Co系合金と同じ。Ti_72Fe_14Cu_14合金の断裂は垂直及び剪断応力方向に起こる。
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