研究概要 |
1.供試合金Reを含有しない第1世代合金CMSX2,中位のRe,Coを含む第2世代合金CMSX4,5mass%Re,12mass%Coを含む第3世代合金CMSX10およびTMS75を供試材とした.また,結晶塑性異方性の低減策としてPWA1480およびMarM247一方向凝固材を供試合金に加えた. 2.耐酸化コーティング試験片のクリープ試験[100]を長手方向にもつ単結晶丸棒から{001}および{011}方位を試験片平行部面方位に有するする正方断面の板材試験片を切り出した後,Ar雰囲気において24.5Al-24.5Fe-49Al_2O_3-2NH_4Cl(mass%)の粉末中で1000℃保持後,さらに1000℃,大気中で0.5h熱処理を施し,試料表面にアルミナ層を形成させた.900℃でクリープ試験を行い,き裂生成と結晶方位について調べた.その結果,コーティング試験片平行部側面が,クリープ寿命に影響を及ぼすことを明らかにした. 3.{111}<112>粘性すべりの抑止策結晶塑性異方性の抑止策を検証する.すなわち,{111}<112>粘性すべりがクリープ強度低下や引張・圧縮異方性を含む塑性異方性の要因となるため,このすべりを抑制する以下の方法について検証した. 4.{111}<112>粘性すべりが活動する条件下での強度特性評価 4.1引張・圧縮強度単結晶超合金では,特異な降伏強度の引張・圧縮異方性が存在する.供試合金の基本的特性を調べるため,室温から900℃までの温度範囲で供試合金について引張・圧縮試験を行った.CMSX4やTMS75は調べた温度域で引張と圧縮の降伏強度が等しかったのに対し,PWA1480では圧縮の強度が引張り強度より低くなった.この異方性の要因は,ナノレベルの変形双晶であることを高分解能電子顕微鏡観察で見出した. 4.2引張クリープ試験(研究協力者との共同研究)上記の供試合金を用いて,750℃および900℃でクリープ試験を行った. 4.3圧縮クリープ試験 圧縮クリープは引張残留応力の原因となることから,重要実験事項である.そこで,本研究では,圧縮クリープに及ぼす温度,応力および合金系の影響を体系的に調べた.その結果,CMSX4やTMS75では{111}<112>すべりが生じて,クリープ強度の引張・圧縮異方性が生じることを明らかにした.PWA1480およびMarM247一方向凝固材では,引張・圧縮異方性がほとんどみられないことが分かった.
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