本研究では新しい磁性材料として金属よりも軽量で耐食性が優れている炭素などの有機材料に注目した。これらの有機材料は磁性材料として注目されていないが、もし有機材料の磁気特性を付与した有機磁性材料として開発できれば、有機材料である特徴を生かし、素晴らしい磁性材料になるのではないかと思われる。本年度は、有機磁性材料としてダイアモンドライクカーボン(DLC)の磁気特性と構造の関係について調べることを目的とし、高周波プラズマCVD装置でダイアモンドライクカーボン(DLC)の作製を様々な作製条件で繰り返し行った。得られたダイアモンドライクカーボン(DLC)の磁気特性を低温で測定し、高周波プラズマCVD装置で作製したダイアモンドライクカーボン(DLC)が磁性を示すことを確認した。次に、ダイアモンドライクカーボン(DLC)の構造をラマンスペクトルで調べた。また、ダイアモンドライクカーボン(DLC)はカーボンだけではなく、水素も含むことが特徴であるため、その水素量の定量方法について検討し、水素量と作製条件の関係について調べた。その結果、磁性を示すダイアモンドライクカーボン(DLC)はアモルファスカーボンであり、sp^2構造とsp^3構造の量が製造条件により少し異なることがわかった。また、磁性を示すダイアモンドライクカーボン(DLC)は水素量を多く含むことがわかった。これらの構造の違いがダイアモンドライクカーボン(DLC)の磁気特性に大きく影響していると考えられる。
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