本研究では新しい磁性材料として金属よりも軽量で耐食性が優れている炭素などの有機材料に注目した。これらの有機材料は磁性材料として注目されていないが、もし有機材料の磁気特性を付与した有機磁性材料として開発できれば、有機材料である特徴を生かし、素晴らしい磁性材料になるのではないかと思われる。昨年度から、有機磁性材料としてダイアモンドライクカーボン(DLC)に注目し、高周波プラズマCVD装置でダイアモンドライクカーボン(DLC)の作製して、その磁気特性を調べている。本年度は高周波プラズマCVD装置で作製したダイアモンドライクカーボン(DLC)が磁性を示すことを確認し、また磁性を示すダイアモンドライクカーボン(DLC)の磁気特性は含有水素量により大きく変化することがわかってきた。それらの結果をまとめて平成21年度電気学会基礎・材料・共通部門大会で「ダイアモンドライクカーボンの磁気特性」というタイトルで発表した。また、有機磁性材料としてポリ塩化ビニル(PVC)を熱分解した試料の磁気特性についても調べたところ、ポリ塩化ビニル(PVC)を熱分解した試料も作製条件によっては磁性を示すことがわかった。その知見を“Magnetic properties of carbon materials prepared from polyvinyl chloride"というタイトルで論文にまとめ、Journal of Applied Physicsに投稿した。
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