研究課題
我々が開発した省電力・高感度磁気センサであるGIGSには、金属-絶縁体ナノグラニュラー材料が用いられている。金属-絶縁体ナノグラニュラー材料は、ナノメーターサイズの微細構造に起因する、TMRなどのユニークな物性を示す。そして、わずかな構造の変化によって、膜特性は大きく変化する。膜構造は、成膜条件や膜組成によって変化し、成膜条件および膜組成を制御することによって、意図的に膜構造を変化させ、実用的にも有用な特性を示す薄膜材料を得ることが出来る。本年度は、加熱基板上に作製したFeCo-MgF系ナノグラニュラー膜について検討した。その結果、基板を加熱することによって良好な耐熱性を有する薄膜が得られた。それらの膜のTMRは、成膜時の基板温度未満の加熱に対し安定であり、特に、基板温度673Kの基板上に作製した膜は、約14%(800kA/m、室温)の大きなMR比と同時に、GIGSの応用で必要とされる160kA/mの弱い磁界中でも、MR比約10%の大きな値を示した。また、これらの値は、473Kで200時間保持の長時間加熱に対しても不変であり、良好な耐熱性を有する。さらに、高分解能透過電子顕微鏡を用い、得られた薄膜試料の構造を詳細に検討し、優れた耐熱特性を有する微量のSiを添加したFeCo-AlF系膜、および、上記の加熱基板上に作製したFeCo-MgF系膜の膜構造を詳細に観察し、その構造の変化を明らかにした。
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Journal of Physics, Conference Series 191
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