研究概要 |
プラズマアーク切断中に発生する騒音をただ単に騒音と捉えるのではなく,この騒音に含まれる信号と溶融金属排出状態との関係を高速ビデオ画像からの解析によって,切断溝形成伴う加工現象とそこから発せされる切断音との関係について実験的に検討した。 プラズマアーク切断装置を用いて切断条件を変化させて被切断材(軟鋼板SS400)を切断し,無指向性マイクロホンを用いて切断音を集音すると同時にデジタルビデオカメラ2台を用いて溶融金属排出状態を記録し,信号解析ソフト及び画像解析ソフトにより溶融金属排出状態を解析した。 切断速度変化における溶融金属排出の面積,開き角及び傾き角は,時間の経過に伴って変化することが分かった。切断速度90と120cm/minの場合,溶融金属は広範囲に飛散して被切断材裏面に多くのドロスが付着した。一方,ドロスフリーが実現できた切断速度150と180cm/minの場合は,溶融金属が細く絞られた状態もに保たれて排出された。 次に,切断音と溶融金属排出挙動との関係を検討した。切断速度90cm/minの場合,音圧,溶融金属排出の面積,傾き角及び開き角は不規則に変動しており,それぞれのピークには対応性がなく,溶融金属の排出面積は断続的な挙動を呈した。一方,ドロスフリーが実現できた切断速度150cm/minの場合,時間の経過に伴って微小な変動があるものの安定した排出が進行し音圧レベルが最大となった。FFT解析結果によると,ドロスフリーが実現できた150と180cm/minの場合,切断音と溶融金属排出面積の両方において21Hz付近に特徴的なピークが出現することが確認できた。 切断音の特性は溶融金属排出挙動及びドロス付着状態と密接に関係することから,今後の切断品質診断システムの構築に向けた基礎資料を得ることができた。
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