Ca349およびBi222を対象として、予備焼結によって作製したバルク体に高温単軸圧縮加工をひずみ速度、ひずみ量、加工温度を種々変えて実施し、(001)(圧縮面)配向度に及ぼす高温加工の影響と、配向が比抵抗に及ぼす効果を調べた。加工条件を決定するために、示差熱分析により融点を決定した。測定結果に基づき、融点の70%から90%程度の高温域で加工を実施した。その結果以下の事実が判明した。 (1) 高温域では、真ひずみ-1.5程度までの大加工が可能である。ひずみ量の増大に伴って密度が単調に増大し、真ひずみ-1.0程度で、緻密化が完了した。 (2) (001)(圧縮面)集合組織は、同一温度で比較すると予備焼結後の極密度値2.0程度から、多くの場合加工ひずみの増大と共に単調に増大する。しかし、温度、ひずみ速度によって最大先鋭度は異なる。これは、結晶すべり変形を主変形機構としつつ、変形の連続性を、結晶粒界すべりや拡散クリープが最小限度の活動で維持することが、集合組織の発達に重要であることを示唆している。集合組織は、最高でランダムレベルの33倍の水準にまで達した。 (3) (001)集合組織の先鋭化に伴って、比抵抗は単調に減少した。最も先鋭な集合組織が発達した場合には、報告されている単結晶の値の2倍程度まで低下した。 (4) 高温加工後大気中で焼鈍を施すと、比抵抗が増大した。これは、大気中での焼鈍では酸素欠損が増加することによると考えられる。
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