研究概要 |
環境調和性の高いプロセス制御型材料加工研究の一環として、ねじり加工を利用した押出し用ビレットの調製による低温・高速押出しプロセスを開発することが本研究の目的である。すなわち、押出し荷重の効果的な低減をもたらす温度,速度,角度の各パラメーターから成るねじり加工の最適条件を確立する。また、ねじりによるせん断変形と押出しによる高い静水圧のシナジー効果によって微細組織を形成し、高強度と高靭性,良好な表面性状と耐食性を併せ持つマグネシウム合金形材の創製を目指す。押出し性が悪いとされるマグネシウムの代表的展伸用合金AZ31Bを供試材とし、押出し荷重の低減に伴う押出し温度の低温化,押出し速度の高速化を目指したねじり調製押出し加工プロセスの開発を行った。AZ31Bマグネシウム合金にねじり加工を与えると、変形双晶の出現や結晶粒微細化により、その後の圧縮変形に要する最大応力が低下することが温間圧縮変形試験より明らかとなった。特に、室温および623Kにてねじり加工した試料において、顕著な応力低下を示した。AZ31Bマグネシウム合金にねじり調製押出し加工を適用する場合の最適加工条件は、ねじり温度623K,押出し温度523K,押出し速度1mm/Sとなった。最適加工条件でねじり調製押出し加工したAZ31Bマグネシウム合金の最大押出し荷重は、ねじり加工を施さずに押出し加工したそれに比べて、30%の顕著な減少が確認された。これは、AZ31Bマグネシウム合金の実操業条件と比較して、323Kの押出し低温化が達成されたことになる。
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