研究概要 |
1.素粉末からのWCの生成挙動とその場生成によるWC-Co超硬合金の作製に関する検討W,C,Co粉末を出発材料として,低エネルギーボールミルを用いて超硬合金粉末を作製した。従来と同様のCoバインダーを有する超硬合金について,液相焼結を用いずに固相下のその場生成を用いた超硬合金の生成について検討した。そのためにまず20vo1%Co組成をターゲットとした。1800ksMA処理した粉末はX線回折においてWピークのみからなり,その結晶子径は35nmであった。パルス通電焼結法を用いて本粉末を固化成形した。過飽和MA粉末において、固化成形の昇温途中の約850℃においてWCに加えてW_2CとCo_6W_6Cが生成される。これらの中間相を経てWCを主成分とする超硬合金のその場生成が可能であった。0.5μm以下の超微細WCを有する超硬合金を作成することができ,工具材料として優れた強度特性(HV1648,HRA91.8,曲げ強さは2.OGPa)を示した。2.バインダーとして用いるFe-Al-C系合金の組成と組織,機械的性質に関する検討C量を約11mo1%と固定しA1量を23,25,27mol%に変化させた3種類の合金をMA法で作製した。これらの合金はいずれも1000℃においてk相(Fe_3AlC)単相となる組成である。真空ホットプレス法を用いて固化成形した焼結体は,室温において27mo1%Al材は(K+FeAl),その他の組成の合金は(k+a-Fe)からなる。これらの焼結体の高温強度について検討した。いずれの焼結体も600℃の低温で高いm値を示し超塑性変形するものと推定された。また温度上昇に伴いm値が低下した。高温X線を用いて検討した結果,kを母相とする2相組織を呈する温度域において高m値を示し,温度上昇に伴ってk単相となるためにm値が低下することを明らかとした。
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