研究概要 |
従来、異種部材を介在しないAINセラミックス部材間の接合は、AINの焼成と同様の1800℃の高温もしくは、長時間の加熱を必要としていたため、部材の変形や部材の粒成長による強度低下が懸念され、低温短時間での接合が課題となっていた。今回、有機物とアルミニウム塩から900℃以上でAINが生成する反応を利用し、AIN生成直前の前駆体物質を接合材に用いることにより、1500℃、50分の接合条件で、実用可能な88±29MPa(最高155MPa,最低49MPa)のせん断強度を得ることができた。この応用によって、規格化した単純形状のセラミックス部材を組み合わせて接合することにより、一体化した継ぎ目の無い複雑形状のセラミックス体の作製の実現が可能になる。AINの特性である高熱伝導性、高絶縁性、高強度、Si同様の低熱膨張率、化学的安定性を生かして、大型ディスプレイ用基板や水冷ジャケット用中空体部品など従来作製困難であった製品開発への波及効果が見込まれる。また本研究の接合材の原材料は安価であり、接合材の作製にも特別な装置を必要としないという長所がある。主な成果を以下に記す。 1接合体 (1)1500℃の接合滑度で実用可能なせん断強度88±29MPaを得た。接合層は緻密で結品性の良いAINで形成されていることを確認した。 (2)1000℃から接合可能であった。破断は接合層内部で起きるため、界面の接合は強固であると考えられる。 2接合体 (1)尿素と塩化アルミニウム6水和物を850℃まで加熱して生成した接合材は、網目状多孔質の紛体であり、斜方晶フラーレン様結晶と多猛のラジカルを含み反応性が高い。 (2)接合材は、900℃以上の加熱でAINを形成し、温度上昇とともに結晶性が向上、1500℃では市販のAIN粉末と同程度の結晶性を示す。
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