実験用配管の内部と外部の圧力差を利用してガスの漏洩を発生させるガス漏洩発生実験装置を用いて、様々な人工欠陥孔(直径0.2〜0.5mmのピンホール、幅0.2〜0.5mmおよび長さ3〜5mmのスリット、段付きピンホール)からガス漏洩を発生させる。漏洩箇所を発生源とする配管を伝播する超音波(AE信号)を検出し、このAE信号によって噴出ガスの挙動を明らかにするために、この人工欠陥孔の形状、大きさおよびガス圧力とAE特徴パラメータとの相関を試みた。臨界圧力を越えると、すなわち、噴出ガス速度が音速を超えると、ジェット噴流を形成し、ガス圧力の上昇に伴い、AE平均値電圧が不安定に急増することがわかった。これはジェット噴流のエネルギ上昇に伴う現象であることがわかった。得られたAE信号波形の中には、特徴のある卓越する周波数(AEピーク周波数)の存在も確かめられ、圧力の上昇に伴い、このピーク周波数が減少することがわかり、ジェット噴流に特徴的なうなり現象(スクリーチトーン現象)と類似していることが判明した。このスクリーチトーンは、音速を超えるジェット噴流の出口付近に形成される衝撃壁(ショックセル)の動的挙動に起因するものであり、流体工学に密接に関係していることがわかっており、AE法の新たな展開のあることが示唆された。スリット欠陥の場合には、不均一な流れを象徴する二つのスクリーチトーンが見いだされ、流体工学的見地からの取り扱いが可能であることが確認された。段付きピンホールの場合には、スクリーチトーンが消滅してしまうことも見いだされ、流れの不均一性に対する今後の詳細な考察が必要になってきている。
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