研究概要 |
1. データベースの充実 (1) データ蓄積の継続 平成20年度に引き続き,ニッケル,アルミナ粉末成形体の焼結-圧縮試験を継続した.粉末サイズ,混合粉末試料の均一度および焼結-圧縮試験における時間等を変えた場合のデータをさらに蓄積した. (2) 焼結モデルの改良 ニッケル/アルミナ混合粉末においてニッケル粉末成形体のマトリックス中にアルミナ粉末がよく分散した場合,焼結特性が複合則から外れる.これはアルミナ粉末が孤立して焼結できなくなるからであり,構成材の特性が変化したと解釈できる.この効果を平成20年度に構築した混合焼結のマイクロメカニックスモデルに組み入れることで,モデルの適用範囲を拡張した. 2. 材料設計の試行と検証実験 (1) 材料設計 作成したデータベースを用いて,積層材の焼結過程のシミュレーションを実行し,欠陥予測および抑制手法の検討を行った.焼結欠陥の予測・制御は申請者のこれまでの研究においてステンレス/アルミナ系で行った方法を基礎に,本研究で得られた成果をさらに加えた.すなわち,焼結中の粉末成形体に発生する内部応力を計算し,アルミナ側に大きな引張応力が発生する場合は,それが低減するような条件を見出した.制御パラメーターとして,粉末サイズ,積層構造に加え,混合粉末の均一性を加えた. (2) 焼成実験による検証 上記の計算を元に設計したいくつかの積層材を実際に作製し,焼成実験により,欠陥の発生および抑制を観察した.これを元に,構築した焼結モデルおよびデータベースの有用性を検証した.
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