研究概要 |
本研究の目的は、電解析出法により、(1)結晶粒径50nm以下、(2)粒界アモルファス相を含まない、(3)厚み2mm以上、(4)マクロボアの最少化を実現したNi-wバルクナノ結晶材料を創製することである。これらを達成するために、アモルファス相生成メカニズム(第一原理計算による粒界偏析状態解析)、浴の劣化挙動、浴内流れ場制御に関する検討をおこなう。H19年度に得られた結果は以下の通りである。 ・電解析出法における流速と電極配置の最適化、イオン数の少ないめっき浴組成の採用、電流密度の検討により、厚み2mm,W濃度の変化が0.72at%以下、平均結晶粒径約25nmのNi-Wバルクナノ結晶材料の作製に成功した。しかしながら、試料内にミクロンオーダーのボアを含有している、Niイオン量が理論値とずれているなどの問題が生じており、現在、これらの問題解決に取り組んでいる。 ・アモルファス相生成メカニズム解明を目的とした、第一原理計算のためのNi粒界モデルを作成し、3種類の粒界に対して粒界エネルギーの計算を行った。その結果、得られた粒界エネルギーの値は、過去に報告されている分子動力学法により求められた値とよく一致しており、作成した粒界モデルの妥当性が示された。現在、Σ3(112)粒界に対して偏析エネルギーの算出を行っている。
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