高周波マグネトロンスパッタ法により、粉末ターゲットを用いてPt(100)/MgO(100)基板上に600℃で膜厚が10nmの(Bi_<0.5>La_<0.5>)(Ni_<0.5>Ti_<0.5>)O_3(BLNT)結晶核を作製した。作製した結晶核はc軸配向のペロブスカイト構造単相膜であった。同一組成のセラミックターゲットを用いて常温スパッタ法により、その上にアモルファスBLNT膜を作製した。XRD測定から、作製した膜が非晶質であることを確認した。アモルファス膜を結晶化するための至適なHIPプロセス条件の検討を行った。保持時間(t)を30min、総酸素分圧(P_<02>)を0.3MPaに固定し、保持温度(T)を500-900℃で検討した。700℃以下では十分な結晶化は得られず、900℃では高温分解が起こり層状構造のBi_4Ti_3O_<12>(BIT)相が生成した。よって、800℃でもっとも結晶成長したBLNTペロブスカイト化合物薄膜を得た。つぎに、Tを800℃、P_<02>を0.3MPaに固定し、tを30-300minで検討した。結晶性はtの増加に伴い60minまで向上するが、それを超えると徐々にBIT生成量が増加した。この結果に基づき、60minを至適なtと判断した。最後にTを800℃、tを60minに固定し、P_<02>を0.02-0.4MPaで検討した。結晶性はP_<02>の低下に伴い徐々に向上する傾向を示し、0.02MPaでΔθ=0.83°を得た。また、このP_<02>ではPt電極とBLNT化合物中のNiOが極低P_<02>下で反応したと考えられる明瞭なNiPt相の生成が観測された。一方、0.1-0.4MPaで処理した試料は高抵抗率(10^9-10^<10>Ω・cm)を示した。この抵抗率に関連して、分極-電界(P-E)ヒステリシス特性は0.1-0.3MPa範囲において観測することができた。
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