研究概要 |
NiTi合金とステンレス鋼を組み合わせたカテーテルガイドワイヤは低侵襲治療には欠かせない医療用デバイスである.本年度は主に異種接合界面の組織制御を行うことにより,NiTi/ステンレス鋼の継手強度の向上を目的とした,接合プロセスはロウ付けおよび摩擦圧接を適用した.また将来に医療用デバイスの材料として有望なZr基金属ガラスのマイクロ接合も行った. φ3mm以下の小径の摩擦圧接はこれまで全く報告がないため,まずステンレス鋼同士の摩擦圧接を行い,そのプロセスウィンドウおよび接合プロセスを調べた.小径の摩擦圧接では接合に必要な摩擦熱が得られにくいため,十分な強度の継手を得るためには10000rpm以上の回転数が必要であった. NiTiとステンレス鋼を直接摩擦圧接した場合,接合界面に脆弱なFe-Ti系の金属間化合物が生成し,継手強度は最大でも200MPa程度しか得られなかった.これに対してNi箔をインサート材に用いて接合を行った場合,500MPaの継手強度が得られた.Ni箔を挿入することによりNi/NiTi界面にはNi_3Tiを主とする反応層が形成され,脆弱なFe-Ti系の金属間化合物層の形成が抑制されることが明らかになった. ロウ付けにおいては,Au基ロウあるいはNi基ロウを用いることで,接合界面にFe-Ti系の金属間化合物の形成を抑制でき,従来使用されていたAg基ロウを用いた場合に比べて大幅に強度改善された. Zr基金属ガラスのマイクロ接合には抵抗スポット溶接を適用した.溶接部のみならず熱影響部の結晶化および構造緩和を起こすことなく大気中で抵抗スポット溶接できることを示した.またその溶接のメカニズムについても明らかにした.
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