研究課題
1)前年度に引き続き、吸引加圧鋳造法について検討し、常温金型で肉厚0.5mmという薄肉部にも溶湯が充満し、x線的には無欠陥という非常に優れた結果が得られた。また、平成20年8月から(財)機械システム振興協会の支援が得られ、試験片の製作を可能とする装置の試作が可能となった。しかし、気密性の問題からガス巻き込み欠陥が発生しやすいこと、鋳造方案が重要であることなどが明らかになった。2)相変化における潜熱を利用した新たな金型温度制御法の基礎的検討として、金型中子に亜鉛を封入した場合と封入しない場合の温度変化を測定し、亜鉛の凝固潜熱の影響で中子の温度上昇が抑制されることが明らかになった。また、シミュレーションによる予測も可能で、今後実用化の可能性があることが分かった。3)鋳型温度と湯流れの関係を定量的に調べることは、時間と費用の関係からできなかった。4)吸引鋳造時の溶湯流動の可視化実験を実施し、1秒以下の短時間での充填でも気泡の上昇と排出が観察された。また、数値シミュレーションで充填状況の概略を推定できることが分かった。5)最適射出条件設定プログラムを試作し、可視化実験により評価したが、可視化実験の境界条件が明確でなく、十分な比較はできなかった。これらの研究成果は、省エネルギや地球温暖化と関連して輸送機器の軽量化ニーズが高いA1やMg合金などの軽合金で、信頼性の高い高強度・高精度・複雑形状鋳造品の製造に大きく貢献する可能性がある。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
J. Mater. Sci., Technol. 24
ページ: 139-140