研究概要 |
1. 複数種類のハニカム吸着材小片を用いて様々な空気条件の下でサイクリック吸脱着操作を行い,その重量変化から水蒸気吸脱着速度と諸変数や吸着材特性の関係を検討した.シリカゲルは吸着・再生ともほぼ同じ吸着速度を示すが,AlPO系ゼオライトは再生開始直後の脱着速度が圧倒的に速い.これは吸着材特性に加えてバインダなど吸着材ロータの製作過程にも起因する.また,吸脱着スイング収束時における吸着速度は,半サイクル時間60-300sの間で3.57×10^<-5>〜4.72×10^<-5>[1/s]であり,完全再生と完全吸着を繰り返した際に吸着初期に得られる速度と大差ないことから,サイクリック操作における水蒸気の吸脱着は吸着材表面近傍で生じ,局所的には吸着平衡が成立するものと考えられる. 2. 様々な空気・操作条件における除湿ロータ回転方向温度・湿度分布を比較検討した結果,デシカント除湿ロータの除湿挙動は吸着材特性に大きく依存し,おおよそ有効吸着量で説明できるものの,吸着材特性と除湿性能を結びつけるには吸脱着速度を詳細に調べる必要があることがわかった. 3. 直接測定不可能なロータ内の水蒸気吸脱着挙動を温度分布測定により把握することを試みた.再生空気出口付近で温度上昇にはロータ見かけ密度の違いが大きく影響する.また,吸着等温線に温度依存性を有するロータでは特に再生空気流れ方向の温度変化に著しい緩急が生じ,その領域は再生が進むにつれて空気流れ下流に移動する.急な温度降下は水蒸気脱着が活発であることを示すが,吸着等温線に温度依存性を有するロータでは比較的狭い領域で水蒸気脱着を生じることが推測される. 4. 数値計算に上記1で得られた吸脱着速度と吸着材特性の関係と局所平衡の概念を導入した結果,上述の除湿挙動およびロータ内温度分布をおおよそ再現することができた.
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