研究課題/領域番号 |
19560758
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
大嶋 寛 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20112526)
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研究分担者 |
五十嵐 幸一 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 助教 (70315977)
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キーワード | 核形成メカニズム / 粒径分布 / 結晶 / 晶析 / マイクロ波 / 溶液の熱履歴 / 核発生 / 微結晶 |
研究概要 |
結晶製造において制御したい代表的な特性の一つに粒径と粒径分布がある。医薬などの有機化合物においても、粉砕を必要としないほど小さくて粒径分布が狭い結晶を得るためには、初期過飽和度を高くして核発生のタイミングを揃えることが重要である。さらに小さくなってナノサイズの結晶製造では特にこのような操作が必要である。しかし、有機化合物の核発生については十分に理解できていないこともあって、有機ナノ結晶の製造は世界でも満足な成功例がない。そこで、本研究では、核発生のメカニズムを解析するとともに、核発生のタイミングを揃えるための晶析操作について検討した。 1)核発生のメカニズム:過飽和溶液中の結晶の成長が、その結晶近傍における多数の核発生を誘導しているという新たな核発生のメカニズムを見出した。このメカニズムを明確に証明するためにはさらなる検討が必要であるが、核発生のタイミング制御に新たな指針を与える成果になると期待される。 2)熱履歴操作による核発生のタイミング制御:クロロホルムを溶媒としてρ-アセトアニシジドの冷却晶析を行うと、核発生までの待ち時間が4時間や10時間など再現性が無く、工業晶析操作としては好ましくない。そこで、過飽和溶液の熱履歴を自在に設計制御できる晶析装置を作製し、従来にない方法で溶液の熱履歴を操作したところ核発生のタイミングを揃えることに成功した。この操作法が実操作に繋がるようさらに検討が必要である。 3)マイクロ波照射による核発生タイミング制御:冷却操作中の過飽和溶液にマイクロ波を照射することによって核発生を抑制しながら溶液を高過飽和状態に導くことができた。これによって、核発生のタイミングを制御でき、粒径分布が狭い結晶を得ることができた。 4)炭酸カルシウム筒状結晶の成長メカニズムを明らかにした。
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