研究概要 |
本研究は,非常に均一性の高い圧力操作により無機結晶の結晶核生成のみのプロセスを4年間で完成させることを目標とする.本研究の独創性でもある圧力により物質の溶解度を変化させることにより,溶液内への過飽和の伝播が伝熱や拡散に比べて非常に速くなる(瞬時に起こる)ことから理論的には不均一な領域が生じないため,均一なナノメータサイズ結晶核が得られることが期待できる. 昨年度の光子相関法を組み込んだ超高圧装置を完成させて,ナノメータサイズ粒子の分布まで測定できることを確かめた. 今年度は,2種類のアンモニウム塩の水溶液中の溶解度と核発生挙動を高圧下で観察した.その結果,アンモニウム塩は圧力とともに溶解度が減少し,高圧により結晶化することが分かった.また,圧力操作によっても冷却操作と同様に準安定域が存在することがわかった. 今後は,溶解度の定量的な測定ができるような新しい高圧装置を開発し,正確な核発生挙動を把握できるようにする.
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